葬儀を執り行う意味
葬儀を行う意味とは?今を生きる人のためにも大切な理由
「葬儀をなんのために行うか」を考えたことはありますか? 大切な人が突然亡くなって、悲しみの中で慣れない準備に追われていると、「なんのために葬儀を行うか」分からなくなってしまう人も多いかもしれません。「葬儀の意味を考えずに、忙しく当日を迎えていつの間にか式が終わってしまった」「葬儀は滞りなく終わったが、気持ちの整理がつけられていない」となってしまっては、その後の毎日がぼんやりと過ぎていってしまうかもしれません。
葬儀は故人の死を悼み、天国や極楽浄土に送り出す儀式です。故人のための儀式として捉えられがちな葬儀ですが、実は亡くなった人にとってだけでなく、今を生きる人のためにも大切な儀式だと言われています。残された人は葬儀に参加することによって、死を受け入れ、悲しい気持ちに整理をつけられるからです。
この記事では、これから葬儀を行う人のために、葬儀が少しでも意味のある儀式になるよう、プロの葬儀屋が考える「葬儀を行う理由」を解説します。大切な人の死を受け入れることは簡単なことではありませんが、葬儀が持つ悲しみを癒す力で、今を生きる人の気持ちが少しでも軽くなれば幸いです。
わたしたちが考える葬儀を行う理由は次の4つです。
- 亡くなった人を死後の世界へお見送りするため
- 故人が亡くなったことを知らせるため
- 親族や友人と繋がりを持つため
- 命の大切さを知るため
それぞれの理由について詳しく説明します。
亡くなった人を死後の世界へ人をお見送りするため
葬儀を行う理由の一つ目は、亡くなった人を死後の世界へお見送りするためです。「死生の説」によると、人間はなくなると48日間4次元の幽界に入り、49日目に5次元の霊界へ登るといわれています。
葬儀は亡くなった人が問題なく死後の世界へ旅立てるようにお見送りをする儀式です。故人は「自分は亡くなった」ということが悟れないと無事に霊界へはたどり着けません。故人が多くのご先祖様と同じように死後の世界に行けるよう、滞りなくお送りするのが残された人々の役割です。
故人が亡くなったことを知らせるため
葬儀を行う2つ目の理由は、故人が亡くなったことをお世話になった人々に伝えるためです。故人は生前さまざまな知人・友人・仕事の関係者に支えられてきました。関わった方々へ訃報を出し、故人と社会がお別れできるようにします。こうすることで、故人の知人や友人も気持ちの整理をつけ、故人の死を受け入れられるようになります。
また、葬儀は故人の死を知らせると同時に、関わった人にご遺族から感謝の気持ちを伝え、今まで以上のご愛顧をお願いする儀式でもあります。故人が亡くなっても、故人がきっかけで生まれたご縁は消えません。今後も良い関係性が築いていけるよう、ご縁を大切にしましょう。
親族や友人とのつながりを持つため
3つ目の理由は、葬儀で集まった家族・親族・友人がつながりを深めるためです。お葬式を通して、悲しみやつらい思いを分かち合うことで、普段会う機会がなく疎遠になりがちな絆が深まります。
葬儀で集まった人々が近況報告をし合ったり、昔話に花を咲かせたり、にこやかな歓談が生まれることは、故人にとっても喜ばしいことです。遺族が遺族室でお酒を酌み交わし、団らんを楽しむ時間は「亡くなった方からの最後の贈り物」だと言えます。
命の大切さを知るため
最後の理由は、死を間近に感じることによって「命の大切さ」を知るためです。人の死に触れ、死を悲しむ人々を見ることで、普段あまり気にせずに過ごしている死の存在を考え直すきっかけが生まれます。
死の中に生があり、生の中に死があるように死と生は切り離せないものです。死を学ぶことで、なにげなく生きている日々に変化が生じ、生きていることのありがたさが感じられます。故人が教えてくれた「命の大切さ」を胸に、1日1日を大切に過ごしていきましょう。
まとめ
葬儀は故人にとって大切な意味があるだけでなく、今を生きる人にとっても重要な意味のある儀式です。故人が死後の世界に無事に旅立てるように送る儀式であり、残された人にとって葬儀は、大切な人が亡くなった悲しみの心を癒し、気持ちの整理をして死を受け入れる大切な機会になります。
故人のご遺族やご友人のみなさまには悲しみを癒し、明日からも前を向いて生きていく力を養う通過儀礼として、葬儀に参加していただきたいと考えています。
また、葬儀を通じて命の大切さや死を理解し、故人への感謝の想いを形にすることで、親族や家族の絆が深まります。大切な人の死を通して人生は有限であることを身をもって理解することで、今この瞬間を生きることの大切さや周りの人への感謝の心が育まれるからです。
故人を死後の世界へお見送りする儀式であり、親族の絆を深め、命の大切さを教えてくれるお葬式。日常生活で忘れがちな想いをひとつひとつ感じながら、最後のお別れの時間を過ごしていただけますと幸いです。
最後に葬儀に関する一句を紹介して記事の結びとします。
つつがなく
過ごし日々の
思い出を
永遠にしるして
宝とすべし